税金で損をしないための節税対策

控除あれこれ

 控除とは、差し引くという意味で、税金の場合は金額から差し引くという意味になります。もっとも身近な所得税控除を例にとると、所得税控除は、所得そのものを安く見積もって、実際の所得ではなく控除後の金額に対して課税する、ということになります。減免同様、税金が安くなったり、課税されなくなったりする場合もありますが、意味が異なるものなのです。
 また所得税控除を例にしますが、この所得税控除にも所得の種類や家族構成などによって、利用できる控除が異なります。給与所得者であれば、社会保険料控除、基礎控除があり、給与所得者で配偶者がいれば、配偶者の収入によって配偶者控除があります。その他、生命保険料控除や損害保険料控除があり、それら全てを実際の所得額から引いた金額が、課税対象となる所得金額となります。もちろん所得税を支払うのは給与所得者だけではありません。原稿料や印税、FXや先物取引などで得た利益などは、基本的に雑所得となります。この雑所得は、給与所得者が、給与以外の一時的な所得である事も多く、給与所得ですでに基礎控除を受けていますからこの場合両方の収入で基礎控除を受けることはもちろんできません。といっても、給与所得者が雑所得を得た場合は、収入から経費を引いた金額がまず所得となり、所得が20万円以下であれば課税はされません。給与所得がなく、雑所得のみが所得であれば、もちろん雑所得から基礎控除を受けることができます。
 また、贈与税は1年間に受けた贈与が110万円以上でなければ課税されません。110万円が基礎控除となり、それを超える金額に課税される方式になっています。相続税が関係してきますが、贈与税額控除という制度もあります。通常相続税は、相続を受ける3年前までに受け取った贈与に対しても課税されます。そうなると、贈与税と相続税を2重に支払うことになってしまわないよう、贈与税としてすでに支払い済みの税金は、相続税の支払い金額から控除されるという仕組みです。もちろん相続税にも控除がありますが、この相続税控除はかなり高額です。具体的には5千万円+(法定相続人の人数×1千万円)が、遺産から差し引かれて、相続税の対象となります。日本人の平均資産は90パーセント以上の人が3,000万円以下だといわれていますから、ほとんどの相続では、相続税が加算されないことになるのです。
 その他、寄附金控除という制度もあり、個人が公益団体に寄付を行った場合に、所得から寄付した金額を控除できるという仕組みです。といってもどんな寄付でも対象になる訳ではなく、広く一般に募集されるもの、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であるものに限定され、実際には財務大臣が指定したものとなります。また法人が寄付を行った場合は、寄付した金額を、全額損金として計上することができます。